episode14.5


ビスケットルーム、戦いを終えたゾロとたしぎ。

深手をおったたしぎを手当てするゾロ。

たしぎは、ふらつく身体をゾロに預けてもたれかかっていた。

吐息が白くなる程の、冷たい空気の中、
たしぎを支えるゾロの手は熱く、
ゆだねるたしぎの頬は、
ゾロのむき出しの胸板を微かに温める。



上手く布を巻けないのは、指先がかじかんでいるせい
だけじゃない。
さっきから、激しく打つ心臓が たしぎにばれやしないか
気が気でなかった。

やっとのことで、巻き終わり、
ゾロは大きく息を吐いた。

ずるっ。
たしぎの身体が沈み込む。

「おいっ!」

ずるずると、崩れおちるように
たしぎはその場に膝をついた。

そんなに傷が深かったのか!?

「しっかりしろ!」
ゾロが慌てて引き起こそうとするけれど、
たしぎの身体は、びくともしない。

「動かないで下さい!」

はぁ?

予想外にしっかりとした声がして、
更に困惑する。

「どうした!具合悪いんじゃねぇのか?」

ゾロの言葉はたしぎの耳に入っていない。

「こ、これは・・・伝説の名刀・・・
 ”秋水”じゃないですか!!!」

「ど、どうして、ここに?
 確か、かつて、竜を斬ったと言われる・・・」

「おいっ!」

「もっと、よく見せて下さい!」
たしぎは、ゾロの前に膝をついたまま
かぶりつくように、秋水に顔を近づけて見ている。

てめェ、どこに顔近づけてるんだよっ!!!
今にも、ぶつかりそうじゃねぇか!

言葉を失ったまま、ゾロが後ずさる。

「あっ!ダメですぅ。」
変に甘ったるい声を出して、たしぎの手がゾロの腰にまわされる。

!!!

「や、やめろ!触んなっ!」

上半身を思い切り仰け反らせながら、たしぎの手を振り切る。

「てめぇ、何しやがんだっ!」

あえぐように抗議するゾロを、
手を伸ばして引き留めようとする。

たしぎの視線は秋水に注がれたまま、
うろたえたゾロの顔は、全く目に入っていなかった。


〈おわり〉





まあ、688話前の妄想話ですけど、あの流れでいくと、
たしぎは、ゾロに馬乗りになって押さえつけて、
秋水をいじくりまわして下さいな。(←バカ)

「どこ、乗ってんだ、てめェ!!!降りろ!
 ・・・あ、いや、これ以上、動くんじゃねェ!!!」(←大バカ)