深い眠り


ぼろぼろになって、ベッドにたどり着く。
部屋に戻ってこれただけ、今日はまだましな方か。
ドサッと身体を投げ出し、目をつぶる。

身体は動かないのに、頭の中で今日一日が再現される。
もう少しで掴みかけたあの感覚を頭の中で繰り返す。

鷹の目との差が詰まることことがあるのだろうか。
伸ばした手が、虚しく空を切る、そんな日々が続いていた。

ぎりっと歯を食いしばる。

俺は強くなっているのか?
ちゃんと前に進んでいるのか?
仲間の顔が浮かぶ。
そしてもう一人、幼い親友に問いかける。
大丈夫だと、笑って欲しくて。

その親友の顔が、いつの間にか大人になって、
あいつの顔になる。

くいなと同じ顔で、
くいなと同じことを言った女。

あいつの黒い瞳は苦手だ。
いつもオレの心の奥まで見透かされる。


たしぎ
名を心の中で、呼んでみる。

もう、忘れたはずだ。

オレの行く道に、あいつはいない方がいい。
覚悟と共に置いてきた想い。

忘れて眠れ。

襲ってくる深い眠りを喜んで迎え入れ、
ゾロは抗うことなく、落ちていった。






なにやら、そめた的、波乱の予感。
 BGMは、尾崎豊 ”シェリー”