「オレからいこうか?」
たしぎの耳元で、ゾロがささやく。
「あ、いえ、私から・・・あの
服にも脱ぎ方が・・・」
たしぎは、立ち上がり背を向けた。
「お手並み拝見。」
からかうようなゾロの言葉も聞こえないのか、
俯いてシャツのボタンをはずし始める。
スルリとシャツがずり落ちて、たしぎの肩が見えた。
カチャ、カチャとベルトを外す音がする。
「・・・・」
くるりとたしぎが振り向いて、両手をゾロの胸板に置くと
目をそらしたまま呟く。
「手伝ってくださらない?」
ぶっと吹きだしそうになるのを必死にこらえ、
「あぁ。」とゾロは頷く。
屈んだたしぎの胸元とずり落ちそうなジーンズの隙間から覗く
腰骨と黒いショーツは、とても艶めかしかった。
「これも、戦略なのか?」
聞きながら、たしぎのブラジャーの肩紐を指先で腕のほうに落とす。
「・・・・はい。」
スルスルとシャツとジーンズを脱がせると
下着だけにさせる。
「なるほど・・・そそられる。」
服を脱がせる間に、たしぎを後ろ向きに座らせると
背中から手をまわす。
右手はウェスト、左肩を脇から伸ばした左手で掴んだ。
身体を後ろから密着させると、じっと動かない。
「ほんとだ、やらしいな。」
ゾロの言葉に目を開けると、鏡に映る自分の姿が見えた。
覆い隠せない全身に、思わず顔をそらす。
「いい、眺めだ。」
ゾロの言葉に、カッと全身が火照るのがわかった。
生暖かい感触が耳の後ろを走る。
「あっ。」
「じゃぁ、オレの番。」
ゾロの舌がたしぎの耳を噛む。
ゾクリと背中が震える。
耳、首筋、肩とゾロの唇が這う。
お腹にまわされた右手は、なでるように下腹部と腿を行き来する。
こらえきれずにたしぎの熱い吐息が漏れ始める。
背中に当たるゾロの熱い塊が余計に身体を熱くする。
必死に思考を引き戻し、口を開く。
「ちょ、ちょっと待って・・・」
「もう交代なのか?」
耳たぶを噛みながら、ゾロの余裕のある声が響いた。
仰向けに寝たゾロを跨ぐようにたしぎが上になる。
「い、いきますよ。」
ゾロは無言で笑ってみせた。
たしぎの口づけは、いつもより積極的で唇だけでなく、
お返しのように、ゾロの耳、首筋、胸と移動していく。
たしぎの指先がゾロの腹巻をずらし、ズボンのボタンにかかる。
たしぎのしようといている行為に気づき、ゾロは息を呑む。
「おい」
ゾロのへその周りに舌を這わせていたたしぎが、髪を耳にかけながら
上目づかいにゾロを見上げた。
「まだ、終わってませんよ。」
「・・・好きにしろ。」
オレの負けかもな。
たしぎの指が腰骨をたどる感触に、ゾクリとしながら額に手を置いた。
〈続〉