寂しくねぇか

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たしぎは、 ふうっと大きくため息をつくと、ノロノロと立ち上がる。
気だるい身体を引きずって、部屋のドアを開ける。

タオルと着替えを持って、シャワー室へと向かう。

汗ばんだ身体を、洗い流したかった。

狭い船内の通路で、スモーカーとすれ違う。
顔を合わせることが出来ずに、横を向く。
スモーカーの視線を感じる。

「離れた男をいつまでも想ったって、虚しいだけだ。
 俺が忘れさせてやろうか。」

哀れむような、さげずむような、その響きに、カッとなって睨みつける。
思わず、手を挙げる。
振り下ろした手首を、ギュッとつかまれ、壁に押しつけられる。
「一人で、慰めてたって、もの足りねぇだろ。」

羞恥と怒りで口がきけないくらいに、顔が火照る。
「あなたに、何がわかるっていうんですか?!」
「いつまでも、引きずったって、辛いだけだってことだ。」
痛いところと突かれ、顔を外らす。

スモーカーの顔が近づいてきて、温かい唇がたしぎの唇を包み込む。
葉巻の匂いが鼻をつく。
「・・・や・・・めて・・・」

手首を押さえていた手も離れ、いつしかたしぎを包み込むように背中に腕が廻される。
「だめです・・・ス、スモーカー・・・さ・・ん・・・」

「もう、楽になれ。」
その言葉に抗うだけの力は、たしぎには残されていなかった。
このまま堕ちてしまおう。どこまでも、深い海へと。





*****


たしぎぃ、目開けろ。
お前が抱かれている男は、俺だ。

わ、わかってます。

そのスモーカーが少しだけ、すまなさそうな表情(かお)をする。
いいんです。後悔なんかしていませんから。
たしぎは、自分から手を伸ばす。
これで、よかったのだと、示すかのように。
ねぇ、そうでしょ。
誰に問いかけるというのだ。

求めていたのは、人肌なのか、慰めなのか。
今は、もう考えたくない。


〈完〉


えぇ、えぇ、スモさんにもいろいろ事情が・・・