光芒 epilogue2



「大佐ちゃん!おかえりなさい!」
「もう平気なのか?無理してねえだろうな!」
「わ〜〜〜、会いたかったぜ〜〜〜!!!」

その頃、たしぎも、新世界G-5本部であつい出迎えを受けていた。

「みんな、心配かけました。もう大丈夫です。」
食堂に集まった部下達を前に、たしぎは帰還の報告をする。

なにやら、お帰りパーティだろうか、 食堂は色とりどりの紙テープで 飾り付けされている。

「すごいですね。こんなにしてもらって、何だか悪いです。」
恐縮くるたしぎに、G-5達は笑い出す。

「何、言ってんの!今日はハロウィンだろ。」
「はろうぃん?」
キョトンとしているたしぎにG-5達が得意げに説明をする。

「子供たちが、魔女やモンスターに仮装して、街中を練り歩くんだ。
 Trick or Treatって。」
「お菓子をくれないと、悪戯するぞって。」
「へぇ。」
「その日は、みんなお菓子を用意して、やってきた子供たちに  くばるんだ。」
「俺たちG-5は、毎年仮装して、船内で楽しんでるって訳。」
「ほらっ、俺なんかゾンビだぞ。上手く化けただろ。」
「俺なんか、ミイラ男だ!」

たしぎにむかって、皆自慢の仮装を見せる。

「あは、仮装だったんですね。なんか、みんな、凄みが増したなって思ってました。」
「なんだよ、そりゃ!」
「ひでぇよ、大佐ちゃん!」

「でも、楽しいですね。」
「だろ!大佐ちゃんも、やってみればいい。ほら、ネコみみ!」
差し出されたネコの耳がついたカチューシャを かぶってみる。

「おお〜〜〜!」
「かわいい〜〜〜!」
どよめきの声があがる!

そこに料理が運ばれてくる。
「酒だ!酒!」
一気に宴会が盛り上がった。

酔いがまわってきたとこで、G-5達がたしぎのまわりに集る。

「大佐ちゃん!Trick or Treat!」
そう言いながら、いっせいに手を差し出した。
「お菓子をくれないと、悪戯するぞ〜〜!」
にやにや笑っている。

「ご、ごめんなさい!私、お菓子の用意してなくて・・・」
慌てふためくだろうたしぎを、からかったのだ。


ふと、ひらめいたようにたしぎが、みんなを見渡す。
「じゃあ、いたずらしてもいいですっ!」

静まり返る食堂。

「私、少しの悪戯ぐらいなら、びっくりしませんから!」



どさっ。がたっ。
床や椅子に座りこむG-5達が目に入る。

「衛生班!急激な血圧上昇により鼻粘膜下の毛細血管が破損し、
 血液が漏出した者多数!至急、救急箱を持って来い!」
バタバタを走り出す衛生兵の姿が見えた。

え?

何が起こったのか、たしぎは把握できなかった。

「みんな、大丈夫ですか?」
おろおろしているところに、スモーカーが現れた。

「ずいぶん騒がしいじゃねぇか、お前ら・・・なんだ?このスプラッタは!?」

仮装で血のりをつけている者もいて、
食堂内はさながら、ホラー映画の一場面のようだった。

「ハロウィンパーティです。スモやん!」

「面白ぇ、趣味だな。」

「大佐ちゃんの爆弾発言で、こうなった有様です!
 危険だよ、あの子は!  まったくわかってねぇ!」

「はぁ?」
訳がわからず、たしぎを見れば、ネコ耳をつけたまま、キョトンとしている。

「あ、スモーカーさん!」
上官の姿を見つけると、駆け寄ってくる。

「スモーカーさん、知ってました?ハロウィンなんて!
 お菓子をあげないと、悪戯されちゃうんですよ〜!」

「Trick or Treat !」そう言いながら、手を差し出すたしぎ。

「スモーカーさんも、お菓子もってないですよね〜。ふふふ、
 そういう人には、いたずらしてもいいんですよ〜〜!」
なんだか、ずいぶん歪曲して解釈してる様だ。

「あ、でも、私もお菓子もってないから、いたずらされちゃうんですね。
 ん〜〜、スモーカーさん!やさしくして下さいね!」

首をかしげて、無邪気に笑うたしぎに何の意図もなかった。

ポロッ。

スモーカーの葉巻が床に落ちる。

隣で、部下がまた一人、鼻血を出して倒れた。


「たしぎぃ、お前・・・・」

「だろ?スモやん!大佐ちゃんは危険すぎる!」


こいつは、自分の目の届く範囲に置いておかないと、
とんでもない事になるぞと 改めて、心に刻んだスモーカーだった。



fin.